田烏の伝承の食文化 『鯖のなれずし』

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小浜市の東部に位置する田烏(たがらす)地区は、天然の良港に恵まれ、古くから鯖やアジなどの巾着網漁で栄えた小さな漁村です。

その田烏地区で、年の瀬の伝承料理として欠かせないのが、この『鯖のなれずし』です。
『鯖のなれずし』は、古代ずしとも言われ、寿司のルーツとされています。遠い昔、奈良時代には『御食国(みけつくに)』の若狭から魚をスシとして平城京まで運ばれている記録が残っています。

『鯖のなれずし』を初めて口に入れるときは、少し勇気がいるかも知れません。スシと言っても、現代人が慣れ親しんだスシとは違い、鮒ずしのように魚一匹を麹と米で漬け込んだ、醤油・味噌・納豆と並ぶ発酵食品です。見た目とは裏腹に、口にすると、『海のチーズ』と呼ばれるのも納得。ほんのりした甘みと適度な酸っぱさに、ファンになる人も多いです。その理由は作り方にあります。


おいしい食べ方は・・・

米麹のついたまま食べやすい大きさに切りそのままお召し上がり下さい。お好みで醤油をつけて食べてもたいへんおいしいです。
また、アルミホイルで包み、オーブントースター等で少し火を通してお召し上がりいただいてもたいへんおいしいです。
なお、すぐに食べない場合は、ラップで包み冷蔵庫で保存してください。なれずしの旨みのもとである乳酸発酵は常に続いていますので時間がたつと酸っぽくなり独特の風味・味が損なわれます。お早めにお召し上がり下さい。

おいしい食べ方


田烏の『鯖のなれずし』は『鯖のへしこ』から作ります。

『鯖のなれずし』は『鯖のへしこ』から作ります。


田烏地区では『鯖のへしこ』を使って、なれずしを作るのが大きな特徴です。
『鯖のへしこ』は、10月から3月に冬場の脂ののった鯖を糠と塩で仕込み、夏の暑い日を越し、約1年、樽の中で漬け込んで熟成させた加工食品です。『鯖のへしこ』だけでも、鯖の旨みを凝縮させた風味豊かな食品であるものを、それをさらに、水洗い、塩出しして、麹と米を混ぜたものを鯖の中に入れ、約15日間漬け込み、米麹の発酵作用で、より熟成させる手間暇のかかった加工食品です。
手間がかかってる分、旨みが凝縮されるわけです。『鯖のなれずし』は10月~4月までの期間限定食品です。


『鯖のなれずし』は、食の世界遺産に認定されました。

『鯖のなれずし』は、2006年、スローフード協会国際本部(イタリア)から食の世界遺産と呼ばれている「味の箱舟」に、「地域と人々の生活に結び付きながらも、消えていく恐れのある伝統的料理・食材」の一つに認定されました。
大量生産される画一的な加工食品「ファストフード」の”大洪水”から、地域特有の伝統食品を救う計画で、これまでに世界で700品目以上が選ばれています。国内では、15品目が選ばれており、北陸では初の認定です。

食の世界遺産